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ECBが量的緩和に踏み切りました

ECB(欧州中央銀行)の最後の切り札となるか?景気と物価のテコ入れに総額1兆ユーロ規模の量的金融緩和を決定。そのときマーケットは!

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こんばんは、盛岩外四です。

1月22日に、ECB(欧州中央銀行)はようやく、量的緩和(QE)に踏み切りました。とはいえ、定例の21時45分に発表されたのは政策金利のみで、しかも現状維持。

市場参加者は肩すかしにあった状態です。21時40分から上下に振れ、売り方と買い方のせめぎ合いが始まっていたからです。

結局、政策変更については22時30分からのドラギ総裁会見までお預け。目一杯、焦らされました。欧州人特有の間の取り方だったように感じます。

22時40分、ようやく相場が動き出します。

2016年9月まで月額600億ユーロの債券買い入れを発表したからです。動き出したと同時に速報が表示されたのは、アメリカのCNBCのウェブサイトでした。

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一見すると、事前予想の500億ユーロを上回り、サプライズを誘ったようでもあります。

しかし、すでに開始していた国債以外の買い入れが100億ユーロ含まれるため、事前予想の通り。それでも、3月から来年9月までの買い入れ総額は1兆ユーロを超えますから、それなりの規模といえるでしょう。

これを受けて、ユーロ/ドル(EUR/USD)は22時40分の1.16ドル台から23日の早朝の1.13ドル台まで300pips超の大幅安。ショートの買い戻しは限定的です。

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スイス中央銀行による対ユーロの上限撤廃は必要だったのか!?

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問題は、スイスフランショックの元凶となったスイス中央銀行による対ユーロの上限撤廃が必要だったかどうかです。

第二の標的とされたデンマーククローネは、デンマーク中央銀行が19日に続いて今年2回目となるマイナス金利をさらに引き下げ、対ユーロで大きな混乱には至っていません。

参考記事:第二のスイスフランになりそうな通貨 ロイター 2015年01月20日11:28

ECBの緩和規模も事前予想の範囲でしたから、スイス中央銀行がなぜ、市場の意表を突くタイミングで上限を撤廃したのか首をかしげたくなります。おそらくマーケットの混乱やスイス経済に対する負の影響よりも、自分たちのメンツを優先したということでしょう。

一方、ECBは一定の配慮をしたように思えます。量的緩和の発表を、あえてドラギ総裁の会見で行ったからです。政策金利の発表と同時に無機質な情報だけを提示すれば、市場参加者が前のめりになっていたかもしれません。

スイスやデンマークの中央銀行の慌てぶりを見る限り、いくら信頼性が高いと評価されていても規模が小さければ、ひとたまりもないことが明確になりました。

これからの金融政策は“巨艦主義”がまかり通ってくるかもしれません。いわゆる規模の論理です。また同時に、数日前からリークするかのように、マーケットに情報を小出しにするといったコミュニケーションの取り方にも注意が必要です。

サプライズに対して、いずれマーケットは慣れてきます。そして、より強い刺激を求めます。そういう意味では、市場の期待を膨らませすぎない手法というのも、注目すべきポイントでしょう。

 

ドル高!世界の緩和マネーが米国に集中?!

もう1つの問題は、FRB(米連邦準備理事会)の利上げ期待が強い一方、それ以外の先進主要国は緩和措置が継続することです。

つまり、ドルの一人勝ち=ドルの持ちすぎです。

ECBが量的緩和を決定してからは、ユーロはもちろんのこと、立ち直り気味だった豪ドルも、持ち合いだったポンドも、下放れてドル買いが再開しています。

つまり、世界の緩和マネーが米国に集中しているという図式です。

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来週にはFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されますが、「これに向けて動き出した」ということなのかもしれません。

ただし、20日にIMF(国際通貨基金)が示した世界経済見通しでは、2015年は3.5%成長、2016年は3.7%成長と昨年10月の見通しをそれぞれ0.3%ポイントを引き下げており、その対象として、ロシアを筆頭に、中国、日本、ユーロ圏を挙げています。

特に中国は昨年に世界経済に占める割合が米国を抜きトップとなりましたが、これら巨大経済圏が揃って減速している最中、二番手に落ちた米国だけで世界を牽引できるとは限らないでしょう。

(参考)IMF世界経済見通し:原油価格が下落し米国の成長が加速するも、世界成長見通しは下方修正に

 

ボラティリティ上昇時は利益獲得の絶好機

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相場は、一極集中が起きたあとにドラスティックに動くものです。それがいつかは特定できませんが、金融政策だのみの世界の金融市場を考えると、ボラティリティの上昇は想定内としておきたいところです。

スイスフランショックのようなボラティリティは対処できなくても、通常よりも高い程度のボラティリティは、利益獲得の絶好機です。

ショックが起きるとトレーダーは萎縮しがちですが、ボラティリティがなければ儲けの機会はありません。昨年の春から夏のドル/円相場はその象徴でしょう。

流動性が枯渇するような状況ではなく、ボラティリティが上昇したときに、どう向き合えるか、どのように備えるかが、今年の大きなテーマであり、成績を左右する一番の要因と考えています。

リスクを恐れるのではなく、上手につきあい、無理にコントロールしようとしないことです。そもそも、トレーディングで稼ごうとすること自体すでにリスクを取っているのですから。

自分なりのボラティリティとリスクと向き合い方をもう一度、考えなおし、しっかりと身に付ける良い機会だと思います。

 

※ユーロ/ドルの1分足チャートで、政策金利発表前からドラギ総裁会見後までの動きを動画収録してありますので、興味のある方はどうぞ。

 

 

(関連記事)ECBが招く通貨のブラックホール化 FPO投資顧問 2015年1月29日

 

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3件の送信がありました。
ココダイスケ さん

先日のスイスフラン騒動から為替は本当に危険なものだという感想を抱きましたが、まだポジションをたくさん持っているため、しかもマイナス圏のために困惑しています。
そんな時、御社からの気になる情報が入ってきて、さっそく覗いてみました。
今後の更なる情報を期待しています。
よろしくお願いします。

小澤 さん

大きなショックに対する対応を今から
備え、そして取っていく姿勢も作っていきます!

良いアドバイスありがとうございます。

TG さん

ボラティリティによってもうけるFXは、逆にボラティリティによってリスクをとることになる。至極当たり前のことですが、心に響きました。

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