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ブレグジットで215兆円が1日で消滅

英国のEU離脱は想定外だったのか?株式市場から消滅した215兆円!もしこの記事がつまらないと感じたなら負け組になる確率100%(汗)

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こんにちは、盛岩外四です。

世界が注目した英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の是非を問う国民投票は、「想定外の離脱」に決定!開票開始から数時間後に離脱派優勢が伝えられると、ドル/円は一時99.00円まで急落。日経平均は後場に窓を開けて下落すると、あっという間に15000円を割り込みました。

日経平均の1日の下落幅としては今世紀最大となり、歴代で8位の記録です。主要国の株式市場の下落率は、最高がフランス(CAC40)の8.04%、次に日本(日経平均7.35%)、ドイツ(DAX=6.82%)と続き、この日だけで世界の株式市場は合計2兆1000億ドル(約215兆円)を失うことになりました。

一部の投資家の方々には20日の段階で、ショックに備えるためにポジションを最低限に落としたり、ヘッジ銘柄を加えたりすることをお薦めしましたので、多少のお役に立てたのではないかと思います。また、好機を逃すことになっても、「観客」「傍観者」に徹することを提案しました。離脱が決まったときのリスクのほうが残留したときのリターンよりも遥かに大きく、ドル/円と日経平均の月足チャートが危険な状態にあると考えたからです。

ブレグジットについての細かな話はすでにいくらでも報道されているので、今回は別の視点からブレグジット・ショックを捉えてみたいと思います。

 

市場の「油断」と「慢心」がショックを増幅

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英国の国民投票の結果は、本当に「想定外」だったのでしょうか。答えは「ノー」です。この点を掘り下げていくと、市場のクラッシュが大きくなった理由も見えてきます。同時に、クラッシュ相場を乗り切るための対処法も導き出せます。

振り返ってみれば、昨年から市場の「楽観」と「慢心」は目に余ります。中国の株式市場が2015年6月からかなり大きな下落に見舞われていたのに、多くの市場参加者は「対岸の火事」程度にしか捉えていませんでした。中国リスクをはっきりと意識したのは、結果的にクライマックスになった8月です。ご存じの通り、世界の金融市場は8月24~25日に大きな下げに見舞われ、日本の株式市場は9月までその影響を引きずりました。

2015年12月に米連邦公開市場委員会(FOMC)がおよそ9年半ぶりの利上げ(ゼロ金利解除)を決めたときも、市場参加者はその後の金利上昇の可能性を軽視していました。その結果、2016年初からの相場も大荒れとなり、危機再来が声高に叫ばれました。

英国の国民投票の事前(世論)調査は常に拮抗していたのに、残留確率優位を示すブックメーカー(賭け屋)のオッズ(残留1.2倍、確率は76~80%)を市場参加者は楽観の根拠にしました。同時に、「市場の主要プレイヤーは、世論調査よりもブックメーカーのオッズを重視する(事前調査よりオッズのほうが当たる)」という報道がやたらと目立ちました。だからなのか、投票が始まってからの為替市場は、まるで「お祭り騒ぎ」のように上昇。結果的に無用な買いポジションが増えてしまったことが、下落を助長した一因でしょう。

 

リスクイベントに対して守りを固めていた一部のトレーダー

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日本の株式市場では出来高が減少し、為替先物市場ではユーロやポンドの対ドルでの買いポジションが減少していたことは幸いでした。つまり一部の主要プレイヤーは、まことしやかに報道されていたほどブックメーカーのオッズに肩入れすることなく、冷静に「様子見」姿勢を強めていたことになります。それでもポンドは、対ドルでリーマン・ショック時の安値を更新してしまいました。

株式市場でいえば、新興市場で直前まで好調だった銘柄の出来高が目に見えて減少し、チャートが崩れ、資金を引き揚げている様子が見られました。これもリスク回避に向けた1つの兆候といえるでしょう。新興市場で好調なトレンドを描いている銘柄は、最も先鋭的で、リスクに敏感なトレーダーが手がけているからです。言い換えれば、彼らは、攻めるときには攻め、守るときにはキャッシュポジションを高める戦術をとり、無用なリスクはできる限り取らないことに徹しています(火中の栗を拾い、リスク相場でも稼げるトレーダーもいますが…)。

リスクの高まりは、各国の中央銀行の姿勢にも現れていました。金融機関に対する資金供給の準備を万全にするために各国中銀が連携していたからです。もしも「離脱」となれば、計り知れないショックが世界に広がることを想定した上での対処です。市場の番人といわれる中央銀行が「臨戦態勢」なのに、お祭り騒ぎの相場展開になっていたことは、盛岩の目には「あり得ない現象」として映りました。米国には「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」という相場格言があります。この言葉と意味あいは違いますが、投票前日の為替相場で買いに興じる市場参加者は「幸福感」に包まれていた気がします。

 

未曽有のクラッシュを招いた原因

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思い返せば、サブプライムローン問題が健在化しリーマン・ショックが発生する過程で、ほとんどの金融関係者はその問題を軽視していました。投資銀行のアナリストやデリバティブを開発するような人達もです。彼らは、こう言っていました。「サブプライムローン債権がどこにどれだけあるかが分かれば問題はない」「大手金融機関がつぶれるようなことはない」。市場にショックが起こっているのに楽観や慢心に覆われたことが未曽有のクラッシュを招いた原因といっても過言ではないでしょう。

ブレグジット決定後の展開は、1日や2日で判断できませんが、市場から悲観の声が多くなればなるほど、底入れが近くなる可能性があります。一方で、楽観視する向きが増えてしまうと、再び足をすくわれる可能性があります。

もう1つのポイントは出来高です。24日の日経平均は昼休みを挟んで窓を開けて下落したとはいえ、出来高は36億株超にとどまりました。2016年2月12日の急落・底入れ場面や2015年8月25日の出来高は47億株超でした。今回の出来高をこれらと比較すると、少し物足りない気がします。

当面の価格は、日経平均では14500円付近を死守できるか、ドル/円なら終値ベースで100円台を維持できるかです。ドル/円の60カ月移動平均(24日終値)が99.963円にあることも、その理由の1つです。24日は、これを一時的に下抜けした後に買い戻されました。101円台半ば~100円付近に強い節目がありますが、それを下抜けすると95円程度は見ておく必要があります。日経平均の60カ月移動平均は14092.21円にあり、14000円付近は2014年の安値です。最低限、このあたりまでは見ておく必要があるでしょう。

「あらかじめの警戒はあらかじめ武装と同じ」(Forewarned is forearmed.)です。

 

リスクイベントが終わってからでは遅い

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ところで、ショック安が起こると含み損が膨らんでしまい、ポジションの扱いに汲々としてしまう個人投資家が激増します。資金量や全体資金の含み損の割合にもよるため、含み損が膨らみきった状況で処理の仕方に正解はありません。しかし、冒頭で書いたように、リスクイベントが分かっているときは、ポジションを減らすなどリスク管理することが重要です。

特に、今回の国民投票のように楽観姿勢が強まると、逆の目が出たときに相場はクラッシュします。当然、下落幅も目を剥くような大きさになり、上下動の幅とスピードも尋常ではありません。為替相場ならスプレッドが極端に広くなり、規模の小さい市場では取引が止まったり、成立しなかったりするケースも出ます。その時になって、どうすればいいかと考えるのでは遅いのです。

資金管理は、ポジションの増減によって行うのが原則です。これは、すべてキャッシュポジションにすることも含みます。事前にポジションを調整して、急変動のリスクに耐えられるようにしておくか、極端に言えば、全額をキャッシュポジションにして次の好機を狙うか、です。また、近年取引が急増している指数連動型のETFなどを使ってリスクヘッジする方法もあります。

大荒れ相場が訪れると、そのとてつもない値幅をどうにか取れないかと思案する投資家が現れます。実際に大きな利益を手にする人もいますが、超が付く高変動相場はさまざまなコストが嵩み、リスクの取りすぎになることをまず知るべきでしょう。レバレッジを利かせる証拠金取引ではなおのことです。

 

リスクイベント前はポジションを調整せよ!

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事後にどうするかと後ろ向きに思案するのではなく、事前に動くからこそ、次の展開でも動けるようになるのです。これが長く平均的に利益を出す秘訣です。同時に、損失をいかに膨らませないかも重要です。さまざまな投資家やトレーダーの取引明細を見てきた立場からすると、負け続けている人の大半は致命傷を負っています。ところが、その分がなくなるだけで、年間成績がプラスか、収支トントンになるケースが多いものです。

大きくなった含み損を何とか軽くしたいと考える習慣から決別するには、軽微なうちに損失を処理するルールを決めることが重要です。含み損を抱え続けてイライラしたり、意気消沈したりするのは、メタボリックで体調が悪いのを放置していることと同じです。メタボリックを解消するためには、かなりの意識が必要です。トレーディングも同じですが、この点に関しては小難しい理論は必要ありません。単純明快なルールであればあるほど、守りやすくなります。

全資金に対する損失がたかだか数%で、リスクイベントが控えているのなら、全部を手仕舞うか、ポジションをかなり軽くしましょう。それに躊躇するなら、資金が半分になったときのことを想像してください。資金の半分が損失になれば、どうにも動けず、新たなチャンスが来ても乗れず、青天井で上がっている銘柄を羨望の目で見つめているだけです。そして最悪なことに、絶好調の銘柄が最終局面に来たときに含み損の全ポジションを切り、その銘柄に乗り換えてしまいがちです。

負の連鎖を断ち切り、常に動けるようにポジションを出し入れできる習慣をつけ、リスクを取りすぎないようにしましょう。そして、大きなリスクイベントが控えているときは、市場が楽観視していても、本当にそうかなのかを検証しましょう。実際にショック安が起こったときには、リバウンド局面で市場が悲観から楽観に転じたかを確認してください。マーケットアナリストや評論家が疑いの目で見ているのに、出来高が増えながら価格が上昇すれば、相場が修復している可能性があります。同時に、そういう状況でも、二番底形成のリスクには常に敏感であるべきです。

相場を張るときは、慎重過ぎる姿勢が必要なときもあります。60カ月移動平均は、超長期の相場の境界です。この上に居続けられるのか、下にくぐってしまうのかを常に監視してください。今は月足まで見る相場状況です。

 

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7件の送信がありました。
megumi さん

再度第1回から聞きなおし勉強をさせていただきたいと思ってページを巻き戻して聞きなおしております。しっかりと正しい知識を身に付けたいと思っております。よろしくお願いいたします。

ゆうか さん

リスクイベント前には、ポジションをなくすか、縮小するのが大切ということは、
今回の相場の動きを見ると、実感します。

西村 さん

ポンド円のショートでリスクヘッジしたつもりでしたが、普通にロスカットを入れており暴落前に約定してしまい結果的に全くヘッジできていませんでした。基本に忠実にポジションを減らしておくべきだったと反省しています。

中島 さん

225を空売りか、個別株か何かヘッジをしないといけないかなと思いつつ、結局なにもしなかったのですが。何故か、何もしないで、利益を取り損なって、下落に身構えただけ。

このメール・・ポシションを減らすのが最良のリスクヘッジを見て大いに納得しました。

フシミ さん

まずはこれまでの意識を180度変えることが必要だと感じています。
まずは荷物を軽くしようと思います。

kobayasi さん

白石さんのメールで、はじめてここのサイトをしりました。大変参考に なります。テレビとか 新聞では 書けない、投資家としての目線で 書かれてる記事が とても参考になります。白石さんと 藤ノ井さんの動画は 大変参考になります。 

熊谷 さん

チョット高いと思いながら某トレード塾で勉強中です。自分の心を常に監視し相場に生かす技の難しさを痛感し、エントリーしても中々成果が出ない日々がつづき、多少の損があったがすべて現金化し静観していました。このたびの急落でも心は揺れていません。空売りしてもボラティリティが大きく成果を出しにくい相場がしばらく続きそうです。先生の相場観測95円と14000円に到達する日が間近なのかも
参考に致します

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