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スイス中銀の乱はブラック・スワン

まさかの政策転換に金融市場は歴史的な大混乱!スイス中銀(SNB)がもたらした衝撃に世界中の投資家が意表をつかれ大パニックに?!

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こんにちは、盛岩外四です。

1月15日、18時30分(日本時間)、スイスフランが各通貨ペアに対して急騰を開始!!
ロイターによると、ユーロ/スイスフラン(EUR/CHF)は一時、0.8500スイスフランまで暴落しました。1.20スイスフランから0.85スイスフランまでとなると、下落率は約30%!

過去に類を見ない大幅な変動となりました。いわゆるブラック・スワンといっていいでしょう。

ブラック・スワンとは・・・
事前にほとんど予想できず、起きた時の衝撃が大きい事象のこと。従来、白鳥は白いものというのが常識だったが、1967年オーストラリアで黒い白鳥が発見された。以来、マーケットにおいて、常識が大きく崩れる出来事が発生した際、多大な影響を及ぼすことを指す言葉として用いられるようになった。

あるFX会社では約1分で1.20スイスフランから1.17スイスフランまで急落し、その後は値付けが停止(取引が中断)。50分後の19時21分に再開したときの価格は1.03スイスフラン台で、下落幅は実に1700pipsとなりました。

 

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歴史上希にみるスイス中央銀行(SNB)の大失態

一連の衝撃的な急変動は、スイス中央銀行(SNB)が政策金利をマイナス0.25%からマイナス0.75%へと引き下げると同時に、対ユーロ1.20スイスフランに対する上限の撤廃を突如として発表したことにあります。

SNBは2011年9月6日に「対ユーロで1.20スイスフランを割り込んだときには無制限で介入する」と宣言していました。しかも、2014年12月には防衛ラインを死守するために2年ぶりとなる為替介入を再開していたもようです。

にもかかわらず、突然の政策転換ですから、外国為替市場はパニックに陥りました。スイス中銀(SNB)が無制限介入を宣言していた以上、ユーロ買い/スイスフラン売りのポジションが溜まっていたことはいうまでもありません。

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変動相場制を導入したばかりの国や、小国の中央銀行であれば、さほどの影響はなかったかもしれませんが・・・。

考えてもみてください。スイス国債の格付けはトリプルA、信用力は世界トップです。その中央銀行が突然、180度の政策転換を発表したのですから「やられた!!!」という感じです。

しかも、12月18日に決定したマイナス金利の実施日は1月22日。つまりECB(欧州中央銀行)理事会の日でしたから、ECBが量的緩和に踏み出すことを想定した政策だったことは明らかです。

しかし、それは政策金利の変更実施前に、さらなる変更を余儀なくされたということでもあります。突然の上限撤廃に隠れた格好ですが、どちらも歴史上稀に見るスイス中央銀行の大失態です。

 

投資家は意表をつかれ突き落とされた?!

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これまで、きれいな上昇トレンドを描いていたドル/スイスも急落。対スイスフランの通貨ペアはどれも似たり寄ったりです。はしごを外されたというよりは「超高層ビルから突き落とされた」状況といっても過言ではないでしょう。

取り急ぎ、経緯を動画にて解説しました。

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無責任極まりないスイス中央銀行(SNB)の決断

スイス中央銀行のトーマス・ジョルダン総裁は会見で「パニック的な反応はなかった」とコメントしましたが、時間単位で20%以上も為替相場が動くことが、パニックではないというのは、おこがましいにもほどがあります。

ここで、中央銀行の責務について整理しておきます。

中央銀行は「一般的に」、物価の安定と金融市場の安定を図る責務があります。だからこそ、バーナンキ前FRB議長がコメントしていたように「マーケットとの対話が重要」とされてきました。政策を変更するときにはマーケットがどのように反応するかを探る必要があるというわけです。

それでも、マーケットが混乱に陥ることもあります。ただし、大方は市場参加者の勝手な解釈や過度な期待、予想外れの域を出ないことが多いでしょう。

しかし、ジョルダン総裁は「このような政策の解除を決定する場合は、市場の意表を突く必要がある」と説明。スイス中央銀行自らが、マーケットに超弩級のネガティブサプライズを引き起こしてしまいました。

 

中央銀行としての信頼の是非

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サプライズを引き起こす政策は日銀も同様ですが、黒田バズーカでさえ、かわいく見えてしまいます。とはいえ、日銀のサプライズはマーケットの期待に一応は沿ったものです。

今回のSNBの政策変更によって、中央銀行の信頼性が大きく損なわれたことはいうまでもないでしょう。金融機関は「信頼」が礎です。「信用創造」とか言われますが、特に、銀行はその最右翼に挙げられます。中央銀行は銀行の銀行ですから、その信頼は堅固なものでなくてはいけません。

しかし、スイス中央銀行は中央銀行としての信頼を根底から覆してしまいました。今回の決定が何を意味するのか、何が目的だったかが明らかになるまでには、もう少し時間が必要かもしれません。

とはいえ、対ユーロで上限を設定していたのは、スイスフラン高によって過度なデフレに陥り、それが長期化することを是が非でも避けることが目的だったはずです。それを自ら放棄したのですから、世界の投資家だけでなく、スイス国民もたまったものではありません。

スイスは輸出立国です。大企業では90~95%を輸出に頼っているといわれています。しかも、今回の政策変更で株式市場は14%も急落。たった2日間で、です。ただし、株式市場の下落率よりも、為替市場の下落率がはるかに上回り、それが数時間で起きたことは、歴史上初めてではないかと思います。

 

スイス中央銀行(SNB)が屈した相手はマーケットにあらず?

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スイス中央銀行は外国為替市場に対して明らかな混乱を招いたにもかかわらず、当事者のジョルダン総裁は「いずれスイスフラン高は是正される」とコメントしています。これは、一時的な混乱が起きても「最悪の事態」だけは避けたかったという意図があったと推測しています。

ニュース報道では「スイス中央銀行は市場に屈した」という記事が出ていますが、「市場」ではなく「ECB(欧州中央銀行)」に屈した可能性が十分にあります。つまり、今回の決定は、中央銀行 vs. マーケットではなく、中央銀行 vs. 中央銀行という図式、大戦艦級同士の闘いです。

仮に、22日のECB理事会で量的緩和が決定され、その規模がサプライズを誘う大規模なものになれば、スイス中央銀行だけでスイスフランを買い支えるのは不可能になっていたかもしれません。スイス中央銀行の力が及ばなかったという烙印を押されれば、それこそ信用の失墜につながります。

しかも、ECBの量的緩和がサプライズを引き起こすような規模になり、なおかつ、その渦中で上限を撤廃せざるを得なくなれば、今回の暴騰劇とは比べものにならないほど、スイスフランが買われてしてしまうことを恐れたのかもしれません。そういう意味では、最悪の事態を避ける「not worst」を選択したのでしょう。

 

もはや中央銀行は信用できない?!

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ドラギECB総裁とドイツのメルケル首相が14日に非公式で会談していたことが、18日のロイターニュースで判明。量的緩和の方法として、各国の中央銀行が自国の国債を買い入れ、政府債務に対して25%の「上限」を設ける方法を提案したもようです。

ここでもまた「上限」です。FRB(米連邦準備理事会)にしても、日銀にしても、量的緩和は1回では終わっていません。となると、今回、ECBが量的緩和を実施するにしても、上限まで国債を買わせるのか、政策の効果が見られないときには「上限を撤廃」するのかがマーケットの焦点になるかもしれません。

いずれにしても、スイス中央銀行の失態によって、マーケットが中央銀行を信用しなくなることはあり得るでしょう。

スイスフランが急騰した日から、ことの重大さが明らかになり、個人投資家やヘッジファンドの過大な損失、FX会社の破綻などがクローズアップされてきましたが、同時にリスク管理の重要性を改めて感じさせられたことも確かです。

(関連記事)ECBが量的緩和に踏み切りました FPO投資顧問 2015年1月23日

 

スイスフランショック参考記事

第二のスイスフランになりそうな通貨 ロイター 2015年01月20日11:28
スイス・フラン、ボラティリティでルーブルを圧倒 Bloomberg 2015年01月19日15:20
スイス中銀の政策をマジメに理解したいならコチラ 野村総合研究所 2015年01月19日
盛岩お気に入りのエコノミストのコメント ロイター 2015年01月19日14:36
スイス中銀のあり得ない対応(復習) ロイター 2015年01月16日01:52
スイスの「恐ろしい教訓」が示す中銀の限界 ロイター 2015年01月16日12:23
スイス中銀ジョルダン総裁の言い訳 ロイター 2015年01月19日09:21
(オマケ)スイスフランの通貨ペアの証拠金が10倍になったFX会社の告知

◆盛岩外四の記事一覧

黒田バズーカ2をテクニカル的に検証 FPO投資顧問 2014年11月17日
どちらのチャートが理想的ですか? FPO投資顧問 2014年10月28日
めったに出ないトレンドを丸取り FPO投資顧問 2014年9月8日

 

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16件の送信がありました。
i,y,.555 さん

今後のFX,は不安定な動きに成りそうで、今までの判断基準が崩れそうに感じました。

Oh! さん

リスク管理の重要性を骨身に沁みて味わいました。
私はfxcm社に口座を持ち、取引をしていますが、幸い、今回は怪我なしで済みました。

ちょこまこ さん

FX会社の選択がどれほど重要かと感じました。
安さだけを重要視している私には良い教訓でした。

ただ、われわれがFX会社せんたくの根拠となる情報は
FXコンサルティング会社から誘導される場合が多いの
(ひも付き)で、もう少し客観的に選択できるサイトの出現を望みます。

今回の件で、各FX会社のとった対応をOPENにしていただくとありがたいです。

KIKUKO さん

謹賀新年 今年も宜しくお願い致します。
毎回のmail有難うございます、本当に勉強に成ります。
未だFXには手を出して居ませんので良く分からないのですが金融政策で色々な事が引き起こされるのですね参考に成ります。最近オーストラリアで株の取引を少しずつして居ます、昨日ガタッと下がってガッカリして居ます。

此れからもmail楽しみにしています。

キクコ

源氏 さん

今回のように、ストップロスがきかない相場の動きがあるとすると、どんなリスク管理ができるのかと考えてしまいます。
たまたまスイスフランに興味がなくポジションをとっってなく、ユーロドルのチャートを見ているときに起こったので、瞬間的にユーロ売りをすることができ、それを適度にリグ得たのでよかったのですが…

今夜のECBの発表によるユーロドルの動きがどうなるのか、高みの見物をすることにします。それが今夜の最大のリスク管理ではないかと思うのですが、どうでしょうか

木村 さん

いつもメールありがとうございます。
このブログも大変参考になります。

おかげさまで、金融その他の知識を得ることが
できております。

Gaia さん

盛岩先生、こんにちは。
わかりやすい動画をありがとうございました。

スイス中銀の政策を信用して高レバでスイスを売っていた投資家はひとたまりもありませんね。
改めてレバレッジ取引の怖さを知りました。

幸いにも損失は被りませんでしたが、スイス中銀の転換に憤りを感じ、とても疲れた週末でした。
前のmamaさんと同じ状況です。

8年前のサブプライムは忘れることがありません。

特に短い時間足でチャートを見ていたため、目の前の大陰線を見て、チャートが壊れたかと思ったほどでした。
トラウマで数年間はポジションをとるたびに恐怖を覚えました。

今はテクニカルとリスク管理とメンタルを勉強中です。

cat nana さん

為替を始めと相当年数経ちますが、今回の措置は「驚愕 の一言です。
リスク管理をしてもこれほどの上昇をFX会社が「ストップ」決済をできかね、顧客に大きな損失を負わせた会社と、自社で損失を被った会社とはっきりと対応が分かれました。この違いは何なのでしょうね?
いずれにしてもなんでもありえると云う事がよく解りました。
貴重なお話ありがとうございました。

鈴木 さん

スイス中央銀行が、対ユーロで1.2のレートで無制限に支えると言った時点でCHFの通貨の脆弱ぶりがあるんではないかなと思っていました。国家と言ってもマーケットの動きには勝てません。スイスがお金持ちと言っても、世界中のマーケットの動きに対して、あがらうことは出来ません。国家の力が強ければ強いほど、マーケットは流動的で、固定の概念を持って太刀打ちできるほど国家財政なんてマーケットの動きに対して強くない。国家が強いものだと言う概念は捨てた方がいい。マーケットの動きの方が何十倍、いや何百倍も強い、だからマーケットの動きに対して投資家たちは素直になれる。国家がマーケットに対してああだこうだ言ってきたときは、絶対何かがあることが分かった。国が強いと思ってるのは、アンポンタンの官僚だけ、マーケットの前では国家なんて屁のようなもの。

TG さん

今回、直接的な被害は被らなかったが、日銀がいつSNBと同じように今の政策を180度転換する可能性がないともいえず、そうなったときがすごく怖い。

mama さん

サブプライムローンの前の暴落で、500万円流しました。

リスク管理も知らず、滝のように流れていくチャートを呆然と見ていました。

何年かFXから離れていましたが、リベンジをしたくて
勉強中です。

CHFは余り好きな通貨ではないので、被害はありませんが、これからも何が起きるか分からないFXの世界ですね。
これこそゼロサムゲームという事でしょうか。

でも、詳しく解説してくださる先生方がいらっしゃって
幸せです。ありがとうございます。

重富 さん

もう中央銀行は信用できません。
なにしろ世界でトップの信用を誇ってきたスイス中央銀行が・・・まさか??という思いというか、鬱憤やるかたなしといったところですね。

リスク管理はかかせません。改めて実感しました。

すが さん

詳細をまとめて頂きありがとうございます。

ユーロとかフランとかどっちがどっちとかややこしくなりましたが、おかげさまで大まかなイメージがつきました。

予想も出来ない出来事で人生を棒にふりたくないですね。

塚本 さん

5分足・1時間足・4時間足・日足のチャートを見る。
マルチチャート分析というのかな。
スイスフランの混乱が直感的に分かった。
また、バーナンキ・イエレンがマーケットの刺激を避ける発言に細かい配慮をしている理由がよくわかる。

松本 さん

今後のユーロ、米ドルの動きが気にかかります。

山田 さん

今回は驚きました。2万通貨の買いポジで約50万損失。
海外口座で30万通貨の買いポジ。幸い、海外口座はストップロスが上手く働いて約20万の損失とラッキーでした。

これがストップが働かなければ1000万位の損失となります。海外口座でも証拠金以上の損失請求はしないところもあります。改めてFX会社の選択の重要性の再確認と同時に幾ら何でもスイス中銀のやり方はひどすぎるし、今後の中銀の政策コメントに信用が無くなります。全く疲れた日々でした。

海外FX会社にこのような場合の対応を聞きましたが明確な回答は1社のみ、他はまだ回答ありません。良い会社があれば教えて下さい。とにかく疲れました。

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