ECBが招く通貨のブラックホール化
ECB(欧州中央銀行)の大規模な量的緩和で追い込まれる周辺国!今後各国中央銀行の金融政策次第では過剰流動性相場は継続する?
こんにちは、盛岩外四です。
ECB(欧州中央銀行)が初の量的緩和に踏み切りました。
実は、いろいろと考えてみたのですが、今回のECBの量的緩和は、どう考えても仕組みが複雑だと言わざるを得ません。
メインとなるドイツ10年国債の利回りは過去最低の0.305%を記録、2年債利回りはマイナス0.18%まで低下し緩和の効果は限定的でしょう。それに、ドラギ総裁がプランAしか用意していないと自信を見せる一方で、各国中央銀行が役割を果たすのかどうかも疑問です。
というのもドイツ、オランダ、オーストリア、エストニアの中銀総裁とドイツ出身のECB専務理事が反対したからです。また、買い入れリスクのうち80%は各国中央銀行が担うことも、その理由として挙げられるでしょう。
単一通貨ユーロのブラックホール化が進む?
マーケットは初物好きということもあり、ドラギ総裁が理事会後の会見で量的緩和の決定を発表すると大きくユーロが売られました。しかし、週明けからは買い戻しの動きが活発化。ショートカバーがどの水準で収まるかが注目されます。
現状はドル、ユーロ、円の三大通貨のうち、日欧が大規模な量的緩和に踏みきり双方ともフレッシュな状態です。日銀の大規模な緩和では韓国が煽りを受けましたが、ECBの量的緩和ではスイスやデンマークの中央銀行が追い込まれてしまいました。
結局、スイスもデンマークも自国通貨高を嫌うのであれば、単一通貨ユーロを採用しなければ回避策はないのかもしれません。
周辺国を金融政策の面で飲み込むようなことがあれば、確率は低いながらも通貨のブラックホール化が進むことになるでしょう。
各国の金融政策から大きなトレンドが発生する?!
一方、日本の物価上昇率の動向によっては、早ければ春先にも日銀が再々追加緩和に追い込まれる可能性もあります。
昨年、利上げ観測が強かった英国では、数カ月以内にインフレ率がマイナスに落ち込むとの見解をBOEの政策委員が示しています。これまでとはまったく逆のベクトルです。量的緩和の復活だってあるかもしれません。
また、中国の景気減速も顕著になってきました。量的緩和とまではいきませんが、通常の金融緩和策を打ち出してくる可能性は高くなっています。そうなると財政出動の規模もとてつもなく大きいですから、過剰流動性相場は今後も継続するでしょう。
特に市場の期待が高まってくると、大きなトレンドを形成するのはユーロの下落を見れば明らかです。
金融政策が絡んでくると、経済指標の発表時とは比べものにならないほど大きな値幅が狙えます。また、トレンドの形成に金融政策が絡んでいることはいうまでもないでしょう。
テクニカル分析と金融政策。今年はこれが二本柱です。
◆ECB量的緩和参考記事
・ユーロ圏国債の23%が利回りマイナス、量的緩和決定で ロイター 2015年1月29日00:30
・ドラギ総裁、どのようにECBを量的緩和に導いたか ロイター 2015年1月27日12:04
・ECBの量的緩和、ドイツ連銀総裁が効果に疑念を表明 ロイター 2015年1月26日09:14
・ECBの量的緩和に反対した=オランダ中銀総裁 ロイター 2015年1月26日09:25
・【ECB要人発言録】拡張した資産購入を開始する Bloomberg 2015年1月26日07:53
・ECBの量的緩和、待つべきだった=オーストリア中銀総裁 ロイター 2015年1月23日08:12
◆盛岩外四の記事一覧
・ECBが量的緩和に踏み切りました FPO投資顧問 2015年1月23日
・スイス中銀の乱はブラック・スワン FPO投資顧問 2015年1月20日
・黒田バズーカ2をテクニカル的に検証 FPO投資顧問 2014年11月17日
・どちらのチャートが理想的ですか? FPO投資顧問 2014年10月28日
・めったに出ないトレンドを丸取り FPO投資顧問 2014年9月8日



ためになりました。
有難う
各国通貨が乱れる中で、リーマンショックから立ち直りつつ有るUS$の一人勝ちに思えてしまいます。また、通貨の裏に潜む軍事力も考慮が必要と思えて成りませんが、如何でしょうか。